K2 ウェイバック&トークバック

カラファテでスキーを担当している矢野です(ここしばらくのスキー関連の記事は僕が書いています)。この時期はスキー関連商品の入荷が続くので、いろいろとご案内できそうです。

今日はK2の新製品をご紹介します。
 

K2 ウェイバック88





基本スペックはサイドカットが121/88/109で、キャンバーはオールテラインロッカーと呼ばれる形状(トップロッカー+センターキャンバー+テールローライズ)を採用、芯材はポローニアツアーライト材(超軽量ウッドコア)で、これを上層と下層に配置されたカーボン&グラスのFRPで挟み込んで形にしています。ビンディングのマウント位置にはチタナール製の補強も入っています。


今シーズンはニューデザインに


ここでK2というメーカーのお話を少し…。

現代のスキーは形にするためにいろいろな素材が用いられますが、その中の一つにFRPが含まれていることがあります。FRPはFiber Reinforced Plastics(ファイバー・レインフォースド・プラスチック)の略で日本語で言うと繊維強化プラスチック。ガラス繊維(グラスファイバー)や炭素繊維(カーボンファイバー)などでできたマットを樹脂の中に入れて強度を向上させた複合材料で、それを構造体として使っている訳です。FRPのベースとなる繊維素材は強度を維持するだけではなく、その編み込み密度や角度などの味付けの仕方が弾力性等の仕上がり性能に大きく影響します。芯材と並んで主要構造体として重要な役割を担っているFRPでは、そのチューニングの加減がスキーの乗り味を大きく左右することになるのです。

K2は1960年代にグラスファイバーラップを応用してスキーを作ることから始まったブランドで、以降その分野での研究開発に力を入れてきました。一言で言うと「FRPは専門分野であり、その辺の技術レベルが凄く高い」。グラスファイバーをはじめとする繊維技術を巧みに使い、チューニングする高度な技を持っているメーカーなのです。


黒い縦縞はカーボンファイバーのリブ

このスキーもこの繊維技術があるからこそ成り立っているのですが、他にも上面キャップと下側にサイドウォールを配置したサンドイッチ型のハイブリット構造(K2ではこれをハイブリテックと呼んでいる)を用いているという特徴があげられます。スキートップからテールまでカバーするキャップ構造がスウィング時の軽さを生み出し、センター部分に配置されたサイドウォールが高いエッジコンタクトを演出するというそれぞれのメリットを組み込んで形にした訳です。

実際手にしてみるとまずその軽さに驚くし、乗ってみるとまたこれが絶妙なバランス感を持っていて、オフゲレンデで遭遇する様々な雪質に柔軟に対応してくれる扱いやすさを持ち合わせています。パンチのある乗り味ではありませんが、山で使うスキーってこういう性能が求められていたりするものです。この辺のチューニングの上手さが、ウェイバックシリーズの人気のポイントなのでしょうね。


スノーフォビックのロゴ
 
※スノーフォビックとは
スキーに雪が付着することを防ぐことにより実際の使用時に足元を軽やかにしようとしたもの。スキーの表面シートに雪が付きにくい素材を用いています。

テックビンディングと組み合わせてAT仕様で乗っても良し!テレマークで使っても相性が抜群です!
 

K2 トークバック88





基本スペックはサイドカットが121/88/109で、キャンバーはオールテラインロッカーと呼ばれる形状(トップロッカー+センターキャンバー+テールローライズ)を採用、芯材はポローニアツアーライト材(超軽量ウッドコア)で、これを上層と下層に配置されたカーボン&グラスのFRPで挟み込んで形にしています。ビンディングのマウント位置にはチタナール製の補強も入っています。


こちらはグレーにピンクロゴ

軽量ツーリングモデル「ウェイバック88」の女性向けバージョンです。

テレマークスキー用モデルの話になりますが、K2は2002-03シーズンに「シーズピステ」というモデルの販売を開始しました。これはテレマーク専用モデルとしては初めての女性用モデルということで、とても注目を集めました。人気モデルである「スーパースティンクス」をベースにユーザーの体格に合わせて柔らかめにチューニングしなおし、サイズも短めのものを設定したこのモデルは、多くの女性テレマーカーから支持されるヒット作になったのです。

「トークバック」はこのバックカントリー向け元祖女性用モデルが進化した直系の後継モデルです。良いものがブラッシュアップされてできた一つの完成形とも言えそうです。


ウィメンズモデルにプリントされるリボンのマーク

「トークバック88」もウェイバック同様のオールテラインロッカーティップ、ハイブリテック構造、カーボンリブの追加、センター部のチタナール補強、エッジコンタクトを確実にするサイドウォール、スキー表面への雪の付着を防ぐスノーフォビックトップシートの採用など、様々なテクノロジーを組み込みツーリングモデルとして魅力あるモデルに仕上げています。

きちんとスキーヤーの体格に合わせてフレックスやトーションが最適化されているのは、K2が得意とする繊維技術があってこそといえるでしょう。


キャンバーの付け方が良くわかる
 

K2 ウェイバック84





基本スペックはサイドカットが118/84/106で、キャンバーはオールテラインロッカーと呼ばれる形状(トップロッカー+センターキャンバー+テールローライズ)を採用、芯材はポローニアツアーライト材(超軽量ウッドコア)で、グラスファーバーのFRPと組み合わせて形にしています。


モデルカラーはイエロー

スペックを見て気づいたと思いますが、こちらは「ウェイバック88」と違ってカーボンファーバーを使用せず、ビンディングのマウント位置に入るチタナール製の補強も省かれたシンプル構成になっています。オールテラインロッカー、上面キャップと下側にサイドウォールを配置したサンドイッチ型のハイブリテック構造、スキー表面への雪の付着を防ぐスノーフォビックなどのツーリングモデルとして求められるテクノロジーはシリーズ共通で組み込まれています。
スキーに使われる素材にそれぞれ役割があるのは当然ですが、かといって素材を沢山使えば使うほどより良くなるということでもありません(製造コストにも響いてしまいますし…)。ウェイバック84はセンター幅も84mmに抑えられており、ハイスピードでダイナミックに滑るために生まれてきたモデルではないのです。シンプルな道具で軽やかに滑りを楽しむ、そんなスタイルのモデルなので必要な性能を必要な素材構成で表現できれば良いのですね。


チタナール補強とカーボンリブは省かれている

このスキーはテレマークスキーで使うとその良さが見えてくると思います。それもスカルパ・T4やスコット・エクスカーションなどと組み合わせて、ライトに楽しむのが性に合っているのではないかと。ガッチリホールドされた用具でガンガン攻めてゆくのとはまた違った、独特の世界観がこういう用具にはあったりするものです。


サイドウォール付きのハイブリテック構造


今年はラニーニャ現象が発生しているのだとか。
この冬は、雪がたっぷり降るのではないかと囁かれています。