PIEPS アバランチビーコン

スキー関連はしばらくぶりの更新になってしまいました(すみません)。

報道等でも取り上げられておりますが、今シーズンは国際的な部材不足(特にアルミニウム)、輸送の大きな遅れ(航空便、船便とも)、工場の稼働低下による減産や欠品等で、大幅な納期の遅れやお届けできないものが生じるなど、多岐にわたって影響が出てしまう結果となりました。
皆様のニーズにお応えすべく、当店といたしましては可能な限り商品をご用意できるよう努力しておりますが、スカルパ・T1やT4、22デザイン・リンクスの最新バージョン、ディナフィット・STラディカル、一部のアバランチギアなど、入荷の目途が立っていない商品もございます。お待ちいただいているユーザーの方にはこの場を借りてお詫び申し上げます。

 

ここしばらくは雪の状態が良く、絶好のパウダーを楽しんでいることと思います。中には深すぎる雪にやられて新しくスキーの購入を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?ファットスキーも含め、当店にはまだまだたくさんのスキーが並んでいます。ご興味のある方はぜひ覗きに来てみてください。皆さんのご来店をお待ちしています。

さて、雪の多い今年ですが、こうなると気になるのがアバランチグッズです。安全面を考慮する上で欠かせないものですので、ここでご紹介しておきたいと思います。
 

アバランチビーコン



パウダーラン、楽しいですね。アルペンスキーやテレマークスキー、またスノーボードも、あの誰も踏み固めていないフカフカの雪を滑るのは、独特の浮遊感があってもう最高の瞬間ですから。
ゲレンデのコース横のロープをくぐってコース外にというのはルール違反ですが、天候を見極めて、必要な技術と装備を持って、しっかり準備して山に挑むのは立派なアルピニズムの世界です(これが本当のバックカントリースキーですね)。ハズレもありますが、当たれば極上のパウダーが楽しめることもしばしばです。

この時スキーヤーにとって脅威となるのが雪崩です。特に注意したいのが面発生表層雪崩。これは雪の積雪層の中に弱層と呼ばれる繋がりの悪い面ができ(※1)、スキーヤーが侵入することにより刺激を与えてしまい、弱層から上の積雪面が島状に崩れて斜面上を流れだし、スキーヤーを巻き込んでしまうという危険性があるからです。
雪崩に巻き込まれてスキーヤーがこの中に埋没してしまうと、呼吸が思うようにできず窒息してしまうという問題が起きます。
過去の雪崩事故の統計から、埋没後15分以内に救出し呼吸を確保できれば、約90%程度の確率で生存救出ができているというデータがあります(※2)。この15分を超えてしまうと急激に生存率は低下してしまい、35分後には生存率は30%を割ってしまうのだそうです。
これは言い換えると15分以内に埋没者の位置特定をして、掘り出して呼吸できる状態までもってゆければ、高い生存率が見込まれるということになります。
そのためには雪崩事故が起きたときに外部からの救助を待っていては間に合わず、その場にいる人たちで速やかに捜索や救助を開始する「コンパニオンレスキュー」が求められます。

この時必要になる装備の一つがアバランチビーコンです。
山に入る際に携行するもので、電源を入れると通常は457KHzの電波(国際規格になっていて、今日では±80Hzの範囲内に収まっているように、メーカー間でルール決めされています)を間欠的に送信していて、雪崩遭難時には埋没者以外の捜索者が受信に切り替えてこの電波を継ぐって埋没位置を特定する仕組みです。
昔は受信した電波を耳に聞こえる音に変えて、その強弱を聞き分けながら埋没位置を特定するアナログ方式でしたが、今日ではこの受信電波を演算して電波の到達距離と発信方向を液晶等に表示させて捜索するデジタル方式が普及し、スピーディーで確実性の高い捜索ができるようになりました。

※1.温度勾配が大きくなると霜ザラメが発生し、積雪層の境目に繋がりの悪い層ができてしまい、雪崩が起きやすくなってしまいます。弱層ができる要因は他にもいくつかあります。
※2.雪崩事故での死因のうち70%程度が窒息というデータがあります。ここでいう確率は窒息に対する生存率です。また、雪崩は窒息だけでなく、立ち木への衝突(外傷)や長時間の埋没では低体温症などの危険性も伴います。

 

ピープス マイクロBTレース

直感的に操作できるピープス社最小・最軽量の3アンテナを装備した雪崩ビーコン。送信モード/受信モード切替のボタン式スイッチを搭載しています。50メートルの球形受信範囲、見やすい大型ディスプレー、複数埋没者に対応するマーク機能、bluetoothによるワイヤレス管理などの先進的な機能を備えた、一般的なバックカントリーツアーに適したモデルです。

カタログ的な見方をすると上のような解説になるのですが、この中でも大きなセールスポイントになるのが球形受信範囲です。
これはピープス社が非常にこだわわっている機能で、このマイクロレースをはじめプロBTやパウダーBTなどのデジタルビーコンの現行モデルすべてに適用されているものになります。
アバランチビーコンのカタログを見ると受信範囲という項目がありますが、これは「最大で〇〇mまでの電波を受信することができます」という性能を表しています。ただしこの時の距離は前後方向であることが一般的で、横方向についてもこの範囲まで受信できるという定義はありません。中には幅と記載されて横方向の受信距離がスペックとして書かれているケースもありますが、最大受信範囲である前後方向に対してやや小さい範囲になっていることが多いです。
つまり、受信範囲は前後方向に長い楕円形になっているわけです。これ、前後方向と左右方向の両方が同じで球形状になるとより好ましいですよねというのがピープス社の考えなのです。

受信範囲が球形状になると、手にしたビーコンの向きに制約を受けず捜索ができます。
前後方向だけでなく、左右方向にも同じだけの幅を持たせることに着目して開発を進めているピープスのビーコン、ちょっと気になる存在ですよね(※3)。

※3.大事なのは自分の手にしているビーコンの特性を理解して使いこなすことであり、受信範囲が球形状でないビーコンで十分な捜索ができないということではありません。

掌に程よく収まるコンパクトさが魅力

 

 

ピープス プロBT

どのくらいの範囲で埋没者が何人いるかを判断できるスキャン機能、被捜索者の位置特定時に捜索対象から外すことができるマーキング機能、プロモードのグループチェック機能、アナログモード、傾斜計といった高水準の機能を搭載しています。
このモデルもピープスのこだわりである球形受信範囲で安定的な受信性能を確保しています。それも受信範囲60m、捜索幅60mという広範囲をカバー。山岳プロフェショナル向けのフルバージョンモデルという位置づけです。


高機能モデルだが操作ボタンは多くない

 


ピープス パウダーBT

DSPプロBTをベースにしたシンプルバージョンです。
マーキング機能はそのままに、スキャン機能を省略したもので、コストパフォーマンスに優れています。
送信、受信の切り替えがスライド式のスイッチになっているため、直感的な操作感で確実な切り替えが可能です(プロBTも同じ)。
もちろん球形受信範囲を確保しており、帯域50m、幅50mをカバーします。


マイクロより一回り大きいが操作感は直感的

 

 

スノーショベルとアバランチプローブをまとめたセット

アバランチビーコンと一緒に使われるギアが、スノーショベルとアバランチプローブ(ゾンデ棒)です。
ビーコンで埋没者の位置が特定できてもショベルがなくては掘り出すことができません。
プローブはビーコンでの捜索を補助するのに用いられるもので、あらかたの埋没位置が特定できたときにピンポイントでの確度を上げるために使われます。
これらをあわせてよく「雪崩対策の三種の神器」などと呼ばれます。
三点セットでリーズナブルな価格設定になっているものがあるので、一度にすべて揃えたい方はこちらで検討してみるのも良いでしょう。

 




ピープスは1967年にオーストリアで設立されたスノーセフティーギアを供給するメーカーです。
三次元方向に対する捜索精度を上げるために今日標準になってきている3アンテナを先駆けて導入したり、デジタルビーコンのソフトウェアをスマートフォンのアプリを通じてブルートゥース接続でファームアップできるようにしたりと、新しい技術を追いかけ続けています。

先日のこと、お客様から「ピープスってどこからきたネーミングなんですか?」との質問を受けました。さて、皆さんも考えてみましょう。
アナログビーコンを使っていた方はあの、「ピーッ、ピーッ、ピーッ」という音を聞いてきたのでピンと来るかもです。
そう、あの音「ピープス」って聞こえませんか?ピープスのブランド名称はこれが由来になっているのだとか。