スカルパ TXプロ&TXコンプ

引き続きテレマークスキーブーツのレポートをお届けしたいと思います。
今回はNew Telemark Norm規格のものになります。
 

スカルパ TXプロ & TX プロ ウィメンズ






4バックル1ベルトタイプで、材質にぺバックスRnewを用いた、NEW TELEMARK NORM(NTN)規格のハイパフォーマンスブーツになります。



左からTXコンプ、TXプロ、TXプロ ウィメンズ

テレマークスキーは長らく75mm Nordic Norm規格のビンディングとブーツが採用されてきました。前回スカルパのテレマークスキー向けプラスティックブーツのお話をしましたが、このプラブーツが登場する前の革靴からずっと75mm規格で作られています。

「75mm規格って何?」というと、つま先の前にあるコバの幅でこれが75mm幅だからなのですが、規格の名前からもわかる通り元々はノルディックスキー(つまりクロスカントリースキー)の規格のひとつです。モダンテレマークはアメリカのコロラドで1970年代に人工的なゲレンデを飛び出して、自分の足で自然の中に踏み出すことを目的として蘇ったものなのですが、当初はクロスカントリースキーに金属エッジを付けたような道具が用いられていました。この頃クロスカントリースキーではこの75mm規格が主流だったこととダウンヒルへの対応性も期待できたため、テレマークスキーの世界では進化しながら75mm規格が使われ続けてゆくことになります。

1980年代の終わりから1990年代にかけてはスペックアップしてゆくダウンヒル性能にあわせて、安全性の面からビンディングにセーフティーリリース機能を望む声も出てきました。その後、幾つかのメーカーがセーフティーリリース機能を製品化していたのですが、その中にロッテフェラ社が製品化したTRP-100というリリースユニットがありました。これは当時人気を博していたチリビンディングやチリコブラビンディングと組み合わせ使われるもので、スキーブレーキなども装備しておりなかなか良くできていたのですが、1990年の終わり頃からワイドスキーが普及しはじめるとブレーキ幅などの機能が対応できず、時代にマッチしない製品になってしまいました。

そこでロッテフェラ社は新たな時代に向けて新製品の開発に着手するのですが、その中で既成の規格に拘らず新ユニットで設計する話が持ち上がります。ブーツメーカーを巻き込んで共同開発(初期段階ではスカルパ社とクリスピー社がこの話に合流しています)されたのがテレマークスキー用の新規格「New Telemark Norm規格」の登場へと繋がってゆく訳です。製品化されたビンディングの第一弾はNTNフリーライドで、横方向へのリリース機能や標準装備のスキーブレーキも備えていました。このときスカルパから登場したブーツが「TERMINATOR X(TX)」と「TERMINATOR X PRO(TXプロ)」になります。2008年秋発売開始の出来事でした。


TX プロ(初期型)

TX(2016-17モデル)


TXシリーズはTXプロ以外にバリエーションモデルにシェル硬度を高めたレーシング・エキスパートスキーヤー向けのTXコンプ(テックタイプのビンディングは非対応)と、女性向けにサイズとシェル硬度とインナーブーツを最適化したTXプロ ウィメンズもラインアップされています。


TX COMP 現行モデル


TX(TERMINATOR X)は残念ながら2016-17シーズンを最後に生産が終了してしまいましたが、TXプロ(TERMINATOR X PRO)はマイナーチェンジを受けながら完成度を高めており、NTNブーツのメインモデルとして高い人気を誇っています。

NTN規格はビンディングの種類も徐々に増えており、選択の幅も広がってきました。ハイサポートなブーツでガッツリ滑りたい方はTXコンプとロッテフェラ・NTNフリーライドと組み合わせてパワフルに楽しんではいかがでしょう。オールマイティーに楽しみたい方は、TXプロ、TXプロ ウィメンズがお勧めです。ロッテフェラ・NTNフリーダム、22デザイン・アウトローとの相性も良いですし、22デザイン・リンクス、the M・メジョー、ボレー・TTSと組み合わせて軽やかに使うのも楽しそうです。

少し寒さが緩みましたが、この後はグッと冷え込むみたいです。
スキー場もオープンするところが増えてきました。楽しみですね。
TX プロ
(25.0cm ライオンブルー)
TX プロ ウィメンズ
(23.0cm[在庫終了] エメラルド)