【Century Crackのルーフ部分を登る】 写真:鈴木岳美
こんにちは。カラファテ川上店スタッフの北平友哉です。
2022年10月18日~11月8日の期間でアメリカにある世界最難のワイドクラック「Century Crack 5.14b」にトライしてきました。
「Century Crack(センチュリークラック)」はアメリカ ユタ州キャニオンランズ国立公園内にあり、2011年に初登されてから
現時点で3人しか完登者がいない世界最難のワイドクラックになります。
以下「Century Crack」の歴史になります。
・2001年 スティーブ・バートレット、エイドソロ(A1)で初登。「Chocolate Starfish」と名付ける。
イギリスのクライマー、スティービー・ハストンがフリー化を試みるも断念。
「Century project」としていた。
・2011年10月5日 イギリスからやってきたワイドボーイズことトム・ランドールとピート・ウィタカ―が
ピンクポイント。
・2011年11月上旬 トム・ランドールとピート・ウィタカ―がキャニオンランズ国立公園を再訪し、レッドポイント。
「Century Crack」と名付け、5.14bとグレーディングし世界最難のワイドクラックとなる。
・2018年10月24日 アメリカのクライマー、ダニー・パーカー第3登。
こんにちは。カラファテ川上店スタッフの北平友哉です。
2022年10月18日~11月8日の期間でアメリカにある世界最難のワイドクラック「Century Crack 5.14b」にトライしてきました。
「Century Crack(センチュリークラック)」はアメリカ ユタ州キャニオンランズ国立公園内にあり、2011年に初登されてから
現時点で3人しか完登者がいない世界最難のワイドクラックになります。
以下「Century Crack」の歴史になります。
・2001年 スティーブ・バートレット、エイドソロ(A1)で初登。「Chocolate Starfish」と名付ける。
イギリスのクライマー、スティービー・ハストンがフリー化を試みるも断念。
「Century project」としていた。
・2011年10月5日 イギリスからやってきたワイドボーイズことトム・ランドールとピート・ウィタカ―が
ピンクポイント。
・2011年11月上旬 トム・ランドールとピート・ウィタカ―がキャニオンランズ国立公園を再訪し、レッドポイント。
「Century Crack」と名付け、5.14bとグレーディングし世界最難のワイドクラックとなる。
・2018年10月24日 アメリカのクライマー、ダニー・パーカー第3登。
【アメリカ ユタ州 キャニオンランズ国立公園】 写真:鈴木岳美
「Century Crack」はルートの難しさもさることながら取り付きに辿り着くまでも大変です。
まずキャニオンランズ国立公園に入ってから「Century Crack」至近の駐車ポイントまで約4時間、崖やダートの悪い道をひたすら車で進みます。イメージとしては瑞牆不動沢の駐車場に行く悪い箇所が4時間続く感じです。ようやく車を止められるポイントに着いてそこから1時間ほど歩くと
「Century Crack」の抜け口に到着。そこからクラックで支点を作りロープをセットして約30m懸垂下降で降ります。そこからちょっと脆いガリーを詰めて突き当りまで行くとようやく「Century Crack」の取りつきに着きます。帰りは「Century Crack」を登るかセットしたロープを登り返さなければ地上に戻れません。
ちなみに「Century Crack」の場所は「HIGH ON MOAB」というトポに記載されています。
【Century Crackの終了点から約30mの懸垂下降中】
「Century Crack」のあるキャニオンランズ国立公園でクライミングする際のルールを以下に記載します。
・野生生物の保護の為、3/1~8/31は「Century Crack」のあるエリア立ち入り禁止。
・白いチョーク禁止。チョークは登っている岩と同じ色でなければならない。
※茶色いチョークはモアブにあるギアショップで購入出来ました。
・キャニオンランズ国立公園内でのクライミングは許可の必要はないが、キャニオンランズ国立公園内に入る際には許可が必要。またキャニオンランズ国立公園内で1夜を過ごすのも許可が必要。指定のキャンプサイトの予約をとらないといけない。
※秋シーズンの予約は5/10から開始ですが、マウンテンバイク等で人気がある為すぐ予約が埋まってしまうので人気歌手のコンサートチケットを予約するつもりで臨んだ方がよいです。
・固定ロープを24時間以上そのままにしておくことは禁止。
・ボルトを打つ事は禁止。
・キャニオンランズ国立公園内ではドローン禁止。
※この内容はキャニオンランズ国立公園のホームページにも記載されています。
※ルールが変わる可能性もあるのでキャニオンランズでクライミングしたい方は最新の情報を確認するようにして下さい。
【モアブのギアショップで購入した茶色いチョークとカラファテ限定パッケージのPD9】
下地に液体チョーク使用したくて手が白くならないPD9を日本から持参しました。
ルートの概要ですが、5番サイズから3番サイズの被った出だしをこなしたあとにメインのルーフクラックに入り、そこから約30m、5番サイズのルーフクラックが果てしなく続きます。しかも所々かなり悪いです。ルーフが終わると135度近い傾斜になりそこがムーブ的に一番難しい箇所になります。そして最後は地上目指して狭い隙間を這い上がってフィニッシュ。
「Century Crack」はルートの難しさもさることながら取り付きに辿り着くまでも大変です。
まずキャニオンランズ国立公園に入ってから「Century Crack」至近の駐車ポイントまで約4時間、崖やダートの悪い道をひたすら車で進みます。イメージとしては瑞牆不動沢の駐車場に行く悪い箇所が4時間続く感じです。ようやく車を止められるポイントに着いてそこから1時間ほど歩くと
「Century Crack」の抜け口に到着。そこからクラックで支点を作りロープをセットして約30m懸垂下降で降ります。そこからちょっと脆いガリーを詰めて突き当りまで行くとようやく「Century Crack」の取りつきに着きます。帰りは「Century Crack」を登るかセットしたロープを登り返さなければ地上に戻れません。
ちなみに「Century Crack」の場所は「HIGH ON MOAB」というトポに記載されています。
【Century Crackの終了点から約30mの懸垂下降中】
「Century Crack」のあるキャニオンランズ国立公園でクライミングする際のルールを以下に記載します。
・野生生物の保護の為、3/1~8/31は「Century Crack」のあるエリア立ち入り禁止。
・白いチョーク禁止。チョークは登っている岩と同じ色でなければならない。
※茶色いチョークはモアブにあるギアショップで購入出来ました。
・キャニオンランズ国立公園内でのクライミングは許可の必要はないが、キャニオンランズ国立公園内に入る際には許可が必要。またキャニオンランズ国立公園内で1夜を過ごすのも許可が必要。指定のキャンプサイトの予約をとらないといけない。
※秋シーズンの予約は5/10から開始ですが、マウンテンバイク等で人気がある為すぐ予約が埋まってしまうので人気歌手のコンサートチケットを予約するつもりで臨んだ方がよいです。
・固定ロープを24時間以上そのままにしておくことは禁止。
・ボルトを打つ事は禁止。
・キャニオンランズ国立公園内ではドローン禁止。
※この内容はキャニオンランズ国立公園のホームページにも記載されています。
※ルールが変わる可能性もあるのでキャニオンランズでクライミングしたい方は最新の情報を確認するようにして下さい。
【モアブのギアショップで購入した茶色いチョークとカラファテ限定パッケージのPD9】
下地に液体チョーク使用したくて手が白くならないPD9を日本から持参しました。
ルートの概要ですが、5番サイズから3番サイズの被った出だしをこなしたあとにメインのルーフクラックに入り、そこから約30m、5番サイズのルーフクラックが果てしなく続きます。しかも所々かなり悪いです。ルーフが終わると135度近い傾斜になりそこがムーブ的に一番難しい箇所になります。そして最後は地上目指して狭い隙間を這い上がってフィニッシュ。
【5番サイズで約30mのルーフクラックが果てしなく続く】 写真:鈴木岳美
今回私はギアをセットしながら登るレッドポイントを目標にしていましたが、トライした後のギアの回収や約5kgのギアを持って登る事は今の自分の実力では厳しいと考えて、事前にギアをセットして登るピンクポイントに目標を切り替えました。
最終的にピンクポイントトライで使用したギアが以下になります。
・キャメロット5番×12個
・キャメロット6番×2個
・キャメロット4番
・キャメロット3番
・ビッグブロ2番(ロープがクラックの中に入るのを防ぐために使用。ダニーから事前に教えてもらった。)
・ロープ80m シングルロープ
初登したワイドボーイズは5番8個でレッドポイント、ダニー・パーカーは5番7個、6番1個、4番1個、ビッグブロ2番1個でレッドポイントしています。実際にやってみて凄まじいランナウトに耐えたワイドボーイズやダニー・パーカーの凄さを肌で感じました。
今回私はギアをセットしながら登るレッドポイントを目標にしていましたが、トライした後のギアの回収や約5kgのギアを持って登る事は今の自分の実力では厳しいと考えて、事前にギアをセットして登るピンクポイントに目標を切り替えました。
最終的にピンクポイントトライで使用したギアが以下になります。
・キャメロット5番×12個
・キャメロット6番×2個
・キャメロット4番
・キャメロット3番
・ビッグブロ2番(ロープがクラックの中に入るのを防ぐために使用。ダニーから事前に教えてもらった。)
・ロープ80m シングルロープ
初登したワイドボーイズは5番8個でレッドポイント、ダニー・パーカーは5番7個、6番1個、4番1個、ビッグブロ2番1個でレッドポイントしています。実際にやってみて凄まじいランナウトに耐えたワイドボーイズやダニー・パーカーの凄さを肌で感じました。
【ピンクポイントトライで使用したギア】 写真:高柳傑
【「Century Crack」の取り付きで「i-VOU」を使ってウォーミングアップ】
「Century Crack」の近くにアップ出来るようなルートはないので約300gと軽いウォーミングアップツールの「i-VOU」を今回持ってきて良かったです。
以下が「Century Crack」にトライした今回のツアーの内容になります。
◎10/18~11/8 3週間
・10/18(火)川上村→成田空港→ロサンゼルス→ソルトレイクシティ着。
・10/19(水)ソルトレイクシティからレンタカーで約4時間かけてモアブへ。
・10/20(木)モアブの街で買い出し、キャニオンランズ国立公園内テントサイトの許可取得。
・10/21(金)キャニオンランズ国立公園に入り、「Century Crack」トライ1日目
・10/22(土)「Century Crack」トライ2日目→嵐の為キャニオンランズ国立公園外へ。
・10/23(日)雨の為レスト。
・10/24(月)レスト。
・10/25(火)キャニオンランズ国立公園に入り、「Century Crack」トライ3日目
・10/26(水)「Century Crack」トライ4日目。
・10/27(木)「Century Crack」トライ5日目。
・10/28(金)「Century Crack」トライ6日目→キャニオンランズ国立公園外へ。
・10/29(土)レスト。
・10/30(日)レスト。
・10/31(月)キャニオンランズ国立公園に入り、「Century Crack」トライ7日目
・11/1(火)「Century Crack」トライ8日目
・11/2(水)「Century Crack」トライ9日目
・11/3(木)キャニオンランズ国立公園内のテントサイトでレスト
・11/4(金)「Century Crack」トライ10日目(ラスト日)→ソルトレイクシティに移動。
・11/5(土)ソルトレイクシティ観光。
・11/6(日)ソルトレイクシティ→ラスベガス→ロサンゼルス。
・11/7(月)ロサンゼルス→11/8(火)成田→川上村へ帰ってくる。
【10/18 Century Crackを完登したダニー宅に招いてもらいセッション。夢のような時間でした。】
「Century Crack」トライ1日目と2日目は佐藤裕介さんと一緒にトライしました。
私にワイドクラックという世界を教えてくれた恩人の佐藤裕介さんと「Century Crack」をトライできる日が来るとは思ってもみなかったのでとても感慨深かったです。
私の「Century Crack」ファーストトライはギアをセットしながら登り、フラッシュ(4年間「Century Crack」の映像を見まくった為オンサイトトライではない)を狙っていましたがメインのクラックに入る向きを間違えてしまいルーフに入って3mくらいでテンション。その後エイドでなんとかトップアウトするのがやっとのありさまでした。
トライ1日目と2日目のギア回収作業も含めてトライした結果、「Century Crack」は大きく分けると
4つの核心があることが分かりました。
・第1核心(約10m):被った出だしからメインのクラックに入り6番サイズの悪いセクション越えるまで。
・第2核心(約10m):クラックの縁が丸みを帯びてきて所々手が効かないセクションを越えるまで。
・第3核心:(約10m):ルーフの傾斜が180度→135度→180度になりルーフの終わりまで。
・第4核心:(6~7m):長いルーフが終わり135度の傾斜から垂直の世界に戻り地上に抜け出すまで。
嵐の中、キャニオンランズ国立公園を後にし、佐藤裕介さんと別れたトライ3日目以降、戦略を見直して中盤戦の4日間は各セクションのバラシに入りました。その甲斐もあり3日目には第1パート、中盤戦最終日の6日目には一番懸念していた最も難しい第4核心がトップロープですがノーテンで抜けることが出来ました。
中盤戦を終えてからモアブの町でレスト中に、レッドポイントを狙うかピンクポイントに妥協するか自分がどうしたいか悩みぬいた結果、今回のツアーではピンクポイントに目標を変えることを決断しました。
「Century Crack」では登った後のルート上に残置されたギアの回収もハードで、レッドポイントトライを継続するには今の私には実力が完全に不足していました。
後半戦は日を追うごとに最高到達点は少しずつ伸びていき、第1核心は確実にこなせるようになっていました。そしてトライ9日目の2トライ目に第2核心を越えて第3核心に入る所で力尽きてテンションしてしまいました。それが今回の「Century Crack」での私の最高到達点です。あとはせめてもと思いテンションを交えながら第3核心を必死に越えて、第4核心で何回もフォールしながら決死の思いでなんとかトップアウトしました。
1日レストを挟んでトライ10日目の最終日は第2核心の中間部でフォール。これで今回の私の「Century Crack」は終わりました。
【「Century Crack」の第4核心部分】 写真:鈴木岳美
4年前に「Century Crack」を登りたいと思い、自宅にトレーニングマシンを作り「センチュリー君」と名付けてトレーニングを続けていましたが今回私は「Century Crack」を登ることは出来ませんでした。
しかし、「Century Crack」という1つのルートを通して沢山の出会いや経験をする事が出来ました。
最高の仲間にも巡り合う事が出来ました。
私は2年後、今回の経験を生かして再び「Century Crack」に戻ってきます。
【今回の旅を共に過ごし、支えてくれた最高の仲間に感謝】 写真:高柳傑